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乾性角結膜炎(KCS)

  • animaleyeclinic
  • 2017年3月22日
  • 読了時間: 3分

乾性角結膜炎(KCS)は涙液産生の低下および欠如に伴う目の変化。角膜は透明で眼内に光を透過させる働きと眼球を保護する機能を担っています。他の組織では酸素と栄養素の供給を血液により受けていますが、角膜には血管がありません。その為、それらの多くを涙から供給されています。

涙液膜には3層あり、大気に触れる側から順に①油層(眼瞼から供給)、②液層( 涙腺と瞬膜腺から供給)でKCSにおいてもっとも影響をうける層。最内層の③ムチン層(結膜の線組織)は角膜に直に接している層である。KCSによってそれらは破壊され、安定性を失い、角膜表面は乾燥していきます。進行ともに乾燥は角膜全体に広がり、眼球表面全体が乾いていきます。乾燥した角膜は涙を介した酸素と栄養素の供給を失い、急速に変化していき、角膜潰瘍、角膜穿孔、感染、不快感、瘢痕形成、血管新生、ミネラル沈着などが生じる原因となる。

要約

  • KCSは涙の産生低下に伴う病気。

  • 粘性目ヤニ、結膜の充血が主症状。

  • 角膜と結膜が乾燥していきます。

  • 涙の検査(STT)によって早期発見できる。

  • 重症例では視力障害も生ずる。

診断

病歴、臨床症状、検査結果により行う。

検査方法

  1. STTは涙の量を評価する。

  2. フルオレセイン染色液は角膜表面の障害の程度と涙液膜の安定性を評価できる。

  3. ローズベンガル液は乾燥によって障害をうける角膜上皮細胞の健康状態を評価できる。

原因

様々な原因が報告されています。

  1. 甲状腺機能低下症

  2. 涙腺に影響を及ぼす感染症(犬ジステンパーウィルス)

  3. 涙腺を破壊する免疫介在性疾患

  4. 涙腺の神経支配に障害をあたえる神経原性KCS

  5. 毒素(サルファ剤、非ステロイド性消炎鎮痛剤など)

治療

KCSの治療は主に局所治療薬が用いられます。

  1. 消炎剤:角膜に傷が無ければ局所の消炎剤が処方される。

目的:角膜と結膜の炎症を抑え、瘢痕形成過程を遅らせる事。

  1. 人口涙液:涙の補給は大切ですので人口涙液は常に処方されます。様々な市販薬がございますが、使用の際はご相談ください。人工涙液の軟膏は夜間など頻回点眼できない時に役立ちます。

  2. 免疫抑制剤:KCSの治療薬として、シクロスポリン、タクロリムスのような免疫抑制剤がごあいます。

KCSに対する治療は一生涯に渡ることがございますが、進行を止め、ダメージを最小限にとどめる為にも必要です。

*粘性目ヤニが眼瞼の縁に盛り上がって塊になってることがございます。涙で洗い流せなくなったこと、涙か減って粘性度が増したこと、角膜や結膜の細胞が剥がれ落ちてきていることなどが原因です。この粘性物は細菌増殖の温床となりますが、二次的な感染症の原因になるとは限りません。

*薬の副作用(上記の毒素)で涙の産生が低下している場合がございますが、治療上の問題で薬の変更・中止ができないケースは、KCSの対照療法を行い症状のコントロールに勤めます。

KCSのタイプ

KCSにはいくつかの型があります。

  1. 部分的なKCS、これは軽度の涙液減少が見られます。

  2. 間欠性のKCS、 正常な涙液産生期間後に一時的な涙液産生の中断が見られるタイプ。

  3. 完全なるKCS、完全に涙液産生が欠如した状態。

  4. 一時的なKCS、短期間の涙液産生の欠落。

予後

早期発見され適切な治療を受けていれば予後良好である。末期の状態では手術(耳下腺管移植術)も検討される。合併症として口腔内の炎症、頬の炎症、眼瞼炎、結膜炎、角膜ミネラル沈着、流涙、湿性皮膚炎がございます。

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