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猫の角膜潰瘍

「ずーっと治療しているけれども改善しない」と言う事でご紹介を受けて診察しました。

写真左:右眼

写真右:同猫 左眼

左眼が正常ですので、間違い探しをします。

まず目に飛び込んでくるのは右眼の結膜が赤く腫れあがっている点。そして角膜に血管が入っている点と、角膜が混濁している点が気になります。いずれも炎症系の症状ですので、炎症の原因を探します。原因探しの詳細は割愛しますが、ルール通りにやっていくと右目の角膜の傷に辿り着きます。所見からこの角膜潰瘍は目薬だけでは治りにくいタイプのものと確定されます。

さあ、今後の治療計画ですが、目薬だけでは治りにくいタイプのものですので、どこかの段階で手術を検討しなければなりません。従って手術適応基準に基づいて、その日を決めて行くのが理想ですが、私の一存では決められません。

どうしてか?

→ 通常、飼い主様は最後の手段として手術を考えていらっしゃいます。その状況で、先手を切って手術手術と言ってしまうと、手術は先送りされ、結果として動物が不利益を被ります。

どうするのか?

→対話重視、飼い主様尊重です。これは話術や駆け引きではなく、動物を最優先に考えた私たちのあり方です。

ベクトルの概念を借りて説明すると

→対話重視で飼い主様の希望をお聞きして(a)、獣医学的理想をお伝えし(b)、そのうえで、動物に最大の恩恵がもたらされるように進んでいきます(a+b)。今回、(a+b)は手術ですので、そちらの方向に進めなければなりません。しかし、強引にaに仕向けようとすれば-aになってしまうかもしれません。

どうするのか?

→「はい」誠実にお話をお聞きし、希望を尊重しつつ、獣医学的理想をお話し、その先にa+bがあることをお伝えしていきます。伝わるまで......

専門病院では、質問をしていいのです。納得いくまで聞いていいのです。時間がかかっても良いのです。1件の外来に1時間かかることもあります。それでいいのです。どうしてかって?「はい」a+bの最大化を考えているからです。いいのです。

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