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角膜内皮ジストロフィー


角膜は目のフトントガラスです。光を透過させつつ目を保護しています。内皮細胞は角膜の最内層を内張りしている一層の細胞です。たった一層分の厚みですが、角膜の透明性を維持するのに不可欠となっております。角膜の透明性は①規則正しい構造②脱水状態に保たれた実質構造によって維持されている。いったん水が入り込むと、その規則正しい構造が崩れ角膜は混濁してくる。内皮細胞は角膜から余分な水分をくみ出すポンプとしての機能を有している。犬や猫の角膜内皮細胞の再生力は乏い。どんな理由で内皮細胞を失ったとしても、残る細胞が伸張拡大し欠損部を補おうとする。一定数の角膜内皮細胞が残存していれば、層の欠損部を多い、角膜の透明性を保てる。内皮細胞数がこの閾値を下回ったり、細胞自体の問題が生じると、角膜実質の脱水性を保てなくなり、角膜は混濁していく。これは遺伝的要因で引き起こされることがある。その代表的犬種はダックスフント、チワワ、ボストンテリアなどである。それらの犬種では、角膜内皮細胞ジストロフィーとよばれ、引き金となる疾患もなく自然発生的に生じる。内皮細胞の変性は眼内の異常による内皮細胞の障害や死滅が原因として生じる。ぶどう膜炎や緑内障やレンズ脱臼などからくる機械的損傷である。角膜内の水分貯留はそれ自体痛みを伴わない。しかしながら、この水分は水泡と言われる水ぶくれ状態の原因となる。その水泡が角膜表面に達し、破裂すると痛みの伴う角膜潰瘍が形成される。適切な治療によく反応するが、何度も再発するようであれば動物の快適性を守る為に手術がすすめられる。

要約

  • 内皮細胞数や細胞自体の問題が生じると角膜は混濁していく。

  • 遺伝的要因で引き起こされることがある。

  • 代表的犬種はダックスフント、チワワ、ボストンテリアなどである。

治療

局所治療では完治しない。しかし高浸透圧性の軟膏(5%塩化ナトリウム)で治療することがある。角膜表面に浸透圧の高い軟膏を塗布することで角膜内の余分な水分をくみ出すことに役立つ。投与回数は動物の症状による。内皮細胞の損失を助長するぶどう膜炎を抑える消炎剤が使われることもある。局所抗生物質点眼液は潰瘍が見られたときに処方される。角膜の水泡や潰瘍形成が頻繁にみらるようであれば、レーザー角膜形成術、加熱角膜形成術が行われることもある。これにより角膜内に瘢痕組織をつくる。これらの処置は、角膜の透過性を改善させる為のものではなく、角膜表面に水泡が到達するのを防ぎ、また潰瘍形成をさせない為の処置と考えるべきである。潰瘍形成が少なければ、動物はより快適で点眼治療の回数も減らせる。

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